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リース取引
今回は、リース取引について記載していきます。
契約上はリースであったも、取引の実態が購入とほぼ同じであれば、会計は取引の実態を適切に表すため、購入と同様に処理を行う必要があります。

借り手のリース取引は、その取引実態により下記の3つに分類できます。
所有権移転ファイナンス・リース取引 | 購入と同様の処理 |
所有権移転外ファイナンス・リース取引 | 購入と同様の処理(残存価額ゼロ) |
オペレーティング・リース取引 | 賃貸処理 |
会話A 所有権が移転しないため、リース期間終了時に返却する。だから残存価額ゼロだよ。
ファイナンス・リース取引
ファイナンス・リース取引に該当する場合には購入と同様に処理します。
銀行から借入を行わずに、資産を使用することが出来ます。
リース料総額には、リースした物の価額と利息費用が含まれています。
リースの契約を行うと、リース会社から提供される下記のような返済スケジュールをもらえることが多いです。
支払回数 | 支払期限 | 支払リース料 | うち元本 | うち利息 |
1 | 2018/12/31 | 2,000 | 1,725 | 275 |
2 | 2019/12/31 | 2,000 | 1,777 | 223 |
3 | 2020/12/31 | 2,000 | 1,830 | 170 |
4 | 2021/12/31 | 2,000 | 1,885 | 115 |
5 | 2022/12/31 | 2,000 | 1,942 | 58 |
合計 | 10,000 | 9,159 | 841 |
基本的には、元本の部分を固定資産の取得原価として扱い、利息相当分を各期に費用計上します。
上記の返済スケジュールを使用し、仕訳を見ていきましょう。
当期期首(2018年1月1日)に、設備をリースした。残存価額ゼロ、耐用年数5年、定額法を採用している。ファイナンス・リース取引に該当する。
リース時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
設備(又はリース資産) | 9,159 | リース債務 | 9,159 |
一回目の支払い時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
リース債務 | 1,725 | 現金預金 | 2,000 |
支払利息 | 275 |
決算時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却費 | 1,832 | 減価償却累計額 | 1,832 |
※減価償却費1,832=取得原価9,159×償却率(100%÷耐用年数5年)

中途解約した場合の処理
中途解約を行った場合には、通常違約金が生じます。
上記例の設備を中途解約した場合の処理を見てみましょう。
2019年1月1日設備を中途解約し、リース会社に返却した。違約金8,000を支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却累計額 | 1,832 | 設備 | 9,159 |
設備除却損 | 7,327 | ||
リース債務 | 7,434 | 現金預金 | 8,000 |
リース解約損 | 566 |

セールスアンドリースバック
セールスアンドリースバックは、売却した資産を再度リースする取引をいいます。
銀行から借入を行わずに、一度売却することにより資金を獲得し、実質的に借入と同じ効果を期待し行われるケースが多いです。また、貸す側からしても、資産の所有権を獲得できるため、抵当権よりも強い保証を得ることが出来ます。
そのため、セールスアンドリースバックは資金の借入のように処理が行われます。
この場合、資産を売却しますが、実質的にローン契約と言えるため、売却損益を売却時に計上することが適切とは言えません。
当期期首(2018年1月1日)、設備12,000を購入した。残存価額ゼロ、耐用年数6年、定額法を採用している。
2018年度決算時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却費 | 2,000 | 減価償却累計額 | 2,000 |
※減価償却費2,000=取得原価12,000×償却率(100%÷耐用年数6年)
2019年度期首、当設備を売却し、リース会社からリースバックを受ける契約をした。リース資産の減価償却については、定額法、耐用年数については契約日以降の経済的耐用年数とする。
リース取引に関する資料
(1)リース期間5年
(2)売却価額11,000
(3)リース料総額11,550(毎年1回年度末均等額払い(2,310))
(4)リース会社の計算利子率5%
売却時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
現金預金 | 11,000 | 設備 | 12,000 |
減価償却累計額 | 2,000 | 長期前受収益 | 1,000 |
リース時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
設備(又はリース資産) | 11,000 | リース債務 | 11,000 |
会話A 売却とリースはまとめて仕訳されることも多いよ
リース料支払い時の処理
1回目のリース料2,310(うち元本1,810、うち利息500)を支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
リース債務 | 1,810 | 現金預金 | 2,310 |
支払利息 | 500 |
2019年度決算時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
減価償却費 | 2,200 | 減価償却累計額 | 2,200 |
長期前受収益 | 200 | 減価償却費 | 200 |
※減価償却費2,200=設備取得原価11,000×償却率(100%÷耐用年数5年)
※長期前受収益200=長期前受収益1,000÷耐用年数5年

オペレーティング・リース取引
オペレーティング・リースに該当する場合、賃貸取引として取り扱います。
DVDのレンタルのような取引をイメージしてください。
単なる賃貸取引のため、会計期間中に生じたリース料をそのまま費用計上します。
リース時の処理
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
仕訳なし |
リース料支払い時の処理
2,000のリース料を支払った。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
支払リース料 | 2,000 | 現金預金 | 2,000 |
